土地価格の調べ方がわかる!【初心者向け画像解説付き】

注文住宅を建てたいけど、土地探しから始めないといけない。

住宅情報サイトにいくつか掲載されているけど、この価格って高いのかな?安いのかな?

そんな注文住宅購入の1歩を踏み出そうしている方に向けて、住宅業界歴20年超えの筆者が分かりやすく解説いたします。

住宅購入の参考になれば幸いです。

この記事ではこんな悩みを解決します。

  • なんで土地ってこんなにも価格差があるの?
  • 土地価格の相場ってどこで知ることができるの?
  • 1つの情報サイトだと情報が少なくて、他に情報収集できる方法ってないの?

この記事を書いている人

廣岡 旬 Hirooka Jun

  • 元住宅メーカーの部長
  • 卒業設計コンクールで最優秀賞受賞
  • 設計担当した物件が建築雑誌に掲載
  • 住宅資材の開発に携わる
  • 用地仕入・施工・設計など携わった職種は多岐にわたる
  • 建築業界で20年以上従事
  • 現在は住宅のコンサルタントをしながら、住宅業界に関わる情報を発信
目次

土地の価格差が大きい理由

数メートル先の土地が10倍以上高い価格で販売されている。

不動産業界でこんなことは、よくあることです。

なぜこんなことが起こるのでしょうか?

大まかな理由は以下のとおりです。

  • 用途や条件が違う
  • 環境が違う
  • 土地の売主による諸事情
  • そもそも売る気がない

順に解説します。

用途や条件が違う

都心部の多くは、都市計画法によって定められた用途地域という、低層の建物しか建てられなかったり、工場の用途では建てることができなかったりと、色々な規制を受けることになります。

この都市計画法の規制は用途地域のみならず、高度地区など色々な規制が存在します。

これらの規制は数メートル先で変わったりするケースが少なくありません。

名古屋市都市計画情報提供サービスの全画面
出典:「名古屋市都市計画情報提供サービス」を加工して作成

上記の図は用途地域別に色分けされた地図です。

色ごとに建築できる条件が違います。

場所によっては、将来立ち退きをしなければいけない地域も存在します。

少し拡大してみましょう。

名古屋市都市計画情報提供サービスの商業地域を拡大
出典:「名古屋市都市計画情報提供サービス」を加工して作成

地図上の矢印部分の詳細情報です。

図の左側に商業地域と記載されており、「容積率400%(上部赤線部分)」と記載されています。

これは簡単に解説すると「その土地に大きな面積の建物が建てられる」ということです。

これくらいの容積率であれば、条件が良ければ高層マンション(オフィスなども)を建てることができます。

注意が必要なのが、もう一つの赤線部分「防火地域」です。

これも簡単に説明すると「火災に強い構造」が求められる地域となります。

技術的には木造でも建築可能ですが、「耐火構造」という特殊な仕様にしなければいけないため、かなりのコストアップになることは間違いないでしょう。

次に数メートル上に行った黄色の地域を見てみましょう。

名古屋市都市計画情報提供サービスの住居地域を拡大
出典:「名古屋市都市計画情報提供サービス」を加工して作成

第1種住居地域で「容積率200」となっています。

先ほどの商業地域(400%)の半分しか建てることができません。

また「準防火地域」となっており、条件は「防火地域」ほど厳しくなく、木造でも十分に建築可能です。

ご覧のとおり場所によって、数メートル先の用途や条件が様変わりしていることが良く分かります。

このように商業地域のほうが大きな建物が建てやすいため、土地価格が高くなる傾向にあります。

環境が違う

先ほどの用途地域によって、環境までも変わってしまいますが、少し違った観点でも解説します。

都市計画法では用途地域以外にも、「市街化区域」と「市街化調整区域」という区域の指定があります。

簡単に解説すると

スクロールできます
市街化区域街(市街化)を活性化するための区域積極的に商業施設やインフラを整備
市街化調整区域市街化を抑制する区域農地や山林などが多く存在

根本的な問題として、例外を除き市街化調整区域で住宅を建てることは困難です。

そのため、両方の区域では環境がガラッと変わります。

意外にも住宅が立ち並んでいる地域の隅っこあたりが、市街化区域と市街化調整区域の境目であるケースがちょいちょいあります。

このように商業施設やインフラが整備されている市街化区域の方が、土地価格が高くなる傾向にあります。

土地の売主による諸事情

稀なケースになりますが、売主による諸事情とは以下の項目です。

  • 相続によって早期に売却しなければいけないとき
  • 遠方にある実家の土地を売却したいとき

相続によって売却しなければいけないとき

これは土地を売却しないと相続税を支払うことができないケースです。

基本的に現金で支払うため、相続を受けた子供に手持ちの現金がない場合、不動産を売却するなどして現金を用意することになります。

ここで問題となるのが、相続税の納付期限です。

相続税の納付期限は「お亡くなりになった方が、亡くなったことを知った次の日から10ヶ月」のため

「支払えない!」と分かったところで、10ヶ月で現金を用意するのが困難になるパターンが意外にあります。

この10ヶ月間で不動産の引き渡しまで行う必要があるため、多少安くても売却したいと考える人がいます。

そのため、相場よりも安い価格で売買されることが多くなります。

ただし、このような物件は表(不動産情報サイトなど)に出ることなく、水面化で売買されるケースがほとんどです。

遠方にある実家の土地を売却したいとき

実家に誰も住まなくなり、かつ将来的にも住むことがないケースです。

よくあるケースは、息子が実家を出て県外へ就職しそこで家庭を築く。

やがて両親が他界し実家が空き家になる。

息子は移り住んだ県外で生活の基盤が出来ているため、実家に戻ることはない。

といったケースです。

こういったケースの場合、「持ってても仕方ないので、売ってしまおう」となるわけです。

「売ってしまおう」と思っていなくても、実家周辺の不動産業者さんが、空き家になっていることを嗅ぎつけて

「売りませんかぁ?今なら高く売れますよぉ」とアプローチしてくることも少なくありません。

こういったケースの場合は

  • 不動産業者さんに上手いこと言いくるめられて、安く売却してしまう。
  • 売り急いでいるわけではないので、安売りせずしっかり資金化する。

のどちらかに分かれるでしょう。

前者の場合は相場よりも安い金額で売買されます。

そもそも売る気がない

前項の「遠方にある実家の土地を売却したいとき」でも少し触れていますが、不動産業者がアプローチしてくるケースです。

実は土地の所有者は、対象となる地域の法務局で調べることができます。

長い間住んでいない空き家や売れそうな土地などを見つけ、法務局で所有者を調べ、DMを送るといったやり方は古くから行われてる手法の1つです。

そこまで手間をかけなくても、周辺地域に「あなたの土地、高く売却します!」などといったチラシを配ったりする手法も王道といえるでしょう。

これらの土地を売る権利を得るためには媒介契約を締結する必要があり、そのときに土地価格が安いと「それなら売らない」となってしまうため、媒介契約を締結するため相場よりも高い土地価格を設定することが多いです。

土地価格の相場の調べ方

信頼度の高い情報で、なおかつ簡単に調べられるといいですよね。

そこで一番簡単で信頼のおけるサイトを画像付きでご紹介します。

情報元は国土交通省なので、安心して利用できます。

URLです。

https://www.land.mlit.go.jp/webland

土地総合情報システムのトップ画面
「土地総合情報システム」(国土交通省)https://www.land.mlit.go.jp/webland/を加工して作成

トップページでは2つ検索する項目があります。

どちらを選んでも、土地価格を調べることができますが、ここでは右側の「地価公示 都道府県地価調査」で検索します。

土地総合情報システムの検索画面
「土地総合情報システム」(国土交通省)https://www.land.mlit.go.jp/webland/を加工して作成

クリックすると日本地図が表示されますので、調べたい都道府県をクリック。

ここでは東京を選択。

土地総合情報システムの詳細検索画面
「土地総合情報システム」(国土交通省)https://www.land.mlit.go.jp/webland/を加工して作成

市町村の画面に変わりますので、同じく調べたい地域をクリック。

ここでは練馬区を選択。

地価公示・都道府県地価調査の選択画面
「土地総合情報システム」(国土交通省)https://www.land.mlit.go.jp/webland/を加工して作成

たくさん選択する箇所が出てきましたが、画面の①~③の箇所にレ点付け、最後に④の検索をクリック

地価公示・都道府県地価調査の検索結果
「土地総合情報システム」(国土交通省)https://www.land.mlit.go.jp/webland/を加工して作成

知りたい住所があれば赤枠部分の「地図で確認する」をクリック

ただし、載っていないケースが多いが多いと思いますので、その場合は知りたい地域の周辺の住所の「地図で確認する」をクリックしてください。

もう少しで完了です!

不動産取引価格情報が載っている地図
「土地総合情報システム」(国土交通省)https://www.land.mlit.go.jp/webland/を加工して作成

地図上に黄色や青色の○や□の記号(点線の赤丸)がありますが、どれでもいいので知りたいエリアにある記号をクリック。

そうすると、図中央の緑枠が出てきますので、赤線部分「住宅地」であることを確認し、「詳細表示」をクリック

次で最後です!

国土交通省地価公示の詳細画面
「土地総合情報システム」(国土交通省)https://www.land.mlit.go.jp/webland/を加工して作成

図赤枠部分に価格が載っています。

この価格は平米(m2)単価ですが、坪単価が知りたい場合はこちらを参考にしてください。

588,000円(土地の平米単価)×0.3025=177,870円/坪となります。
逆に坪単価を平米単価にしたい場合は
177,870(土地の坪単価)÷0.3025=588,000円/平米(m2)となります。

公的機関が調査して開示している情報のため、相場を知るには十分参考になります。

複数サイトから土地情報を収集する方法

大手住宅情報サイト2社も土地価格相場を開示しています。

スクロールできます
LIFULL HOME’S(ホームズ)https://www.homes.co.jp/tochi/price/
SUUMO(スーモ)https://suumo.jp/tochi/soba/

こういったサイトは、自社で掲載している土地情報をもとに価格開示しているため、【土地の価格差が大きい理由】で解説したとおり、様々な諸事情が絡み合って出てきた相場価格になっています。

信頼できるかどうかではなく、「諸事情が盛り込まれている」ということを理解した上で見ることで、「こんなはずじゃなかった」を防ぐことができます。

建物も去ることながら、土地も高い買い物です。

しっかりと知識を付けて情報収集し、割高な買い物にならないようにしたいですね。

以上が【土地価格の調べ方】でした。住宅購入の参考になれば嬉しいです。

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