住宅づくりを始めると、「構造材」や「JAS規格」など、耳慣れない専門用語がたくさん出てきて戸惑う方も多いのではないでしょうか?
なかでも、構造材(柱・梁などに使われる木材)は、建物の価格や耐久性、さらには地震への強さにも大きく影響します。
「構造材って何種類あるの?」「国産材と外材ってどっちを選べばいいの?」
そんな疑問をお持ちの方に向けて、この記事では木造住宅に使われる主要な構造材の種類・特徴・選び方を、図解付きでわかりやすく解説します。
マイホーム計画中の方、建物の性能や長持ちさにこだわりたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
住宅購入時に構造材の詳細まで気にする人は少ないかもしれませんが、以下のポイントは確認しておくと安心です。
- 構造材の乾燥方法:KD材(機械乾燥)かどうかで耐久性が変わる
- JAS規格の有無:強度等級の明示で信頼性が高い
- 集成材 or 無垢材:集成材のほうが品質は安定しやすい
- 国産材 or 外材:価格と耐久性のバランスを見極める
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- 木造住宅に使われている柱や梁って、どんな材料が使われているの?
- 「国産材」ってよく目にするけど、国産材って何がいいの?
- 無垢材と集成材って何が違うの?
- 外材と国産材、どっちがコスパがいいの?
この記事を書いている人
廣岡 旬/hirooka jun
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構造材の「品種」とは?

木造住宅に使われる構造材は、【品種】【産地】【樹種】の3つの観点で分類されます。
この章では、その中でも「品種(製材方法の違い)」に着目し、よく使われる代表的な4種類をご紹介します。
構造材の代表的な品種4選
- GRN材(グリーン材)
- KD材(乾燥材)
- 集成材(エンジニアウッド)
- LVL(単板積層材)
それぞれの特徴やメリット・デメリットを、初心者でも分かるように解説します。
GRN材(グリーン材)とは?
未乾燥の無垢材で、最もシンプルな構造材
特徴:丸太をそのまま角材にした、乾燥処理のされていない木材
用途:主要構造部(柱・梁・床など)には使用不可。小屋組などで限定的に使用
注意点:乾燥していないため、反り・割れ・収縮が発生しやすく、耐久性に不安あり

木材の強度や耐久性において「乾燥」は非常に重要な要素。基本的に住宅構造材としての使用は避けた方がよいです。
KD材(Kiln Dried Wood:乾燥材)とは?


機械乾燥された無垢材で、昔ながらの主力材
特徴:グリーン材を機械で乾燥させた無垢材
メリット:価格が安く、流通量が多い
注意点:乾燥品質にバラつきがある/JAS認定の有無で性能に差が出る
基準:「製材JAS」により、強度や含水率が数値化されるようになった



コストを抑えたい住宅に多く採用されるが、JAS認定の有無を必ず確認することが重要です。


なお、乾燥方法には以下の2種類があります。
- 天然乾燥(天日干し):時間がかかり、含水率のバラつきが大きい
- 機械乾燥(Kiln Dry):短期間で乾燥でき、含水率の管理も精密
KD材は後述する集成材やLVLが普及する前までは、構造材の主流として使用されていました。価格も構造材の中では比較的安価で、現在も広く利用されています。



製材JAS(日本農林規格)により、KD材の強度や含水率に基準が設けられ、数値化された性能で選べるようになっています。
ただし、すべてのKD材がJAS認定を受けているわけではないため、構造計算が必要な住宅では、JAS認定材を選ぶことが重要です。
集成材(Engineered Wood:構造用集成材)とは?


複数の板(ラミナ)を貼り合わせて作る、高精度で高強度な構造材
構造:板状のラミナ(挽き板)を接着剤で貼り合わせた人工構造材
メリット:強度等級が明示されており、構造計算に使える/寸法精度・品質が安定
用途:柱・梁・カウンター材など、幅広い部位で使用される
基準:「JAS規格」により、強度・含水率・接着方法などが厳格に定められている
集成材は、細かく製材した板材「ラミナ」を乾燥・強度選別したうえで、接着剤で貼り合わせて製造される人工的な構造材です。
構造用集成材は、【JAS規格(日本農林規格)】に基づき、以下のような厳しい品質基準をクリアしたもののみが使用されます。
- 強度(ヤング係数)の等級表示
- 接着方法や乾燥度合い(含水率)
- 目視等級または機械等級での分類
これにより、天然の無垢材にありがちな品質のバラつきを回避し、安定した強度・精度が確保されるという大きなメリットがあります。


ラミナを何層にも貼り合わせて完成した集成材。木目の美しさと強度のバランスから、構造用だけでなくカウンター材など内装材にも用いられます。


LVL(Laminated Veneer Lumber:単板積層材)とは?


強度最強クラス。大空間構造に使われる高性能材
構造:薄い単板(ベニヤ)を何層にも貼り合わせた高強度材
用途:大きな荷重がかかる部位や、長いスパンの梁など
メリット:非常に高い強度・曲げ耐性がある
デメリット:価格が非常に高く、一般住宅では使用頻度が低い



LVLが使われている住宅は、構造的に難しい設計をしている可能性が高いため、建築士にしっかり確認することが大切です。
産地・樹種


産地は国産材と外材(外国産材)の2種類に分類されています。
樹種は国産材と外材で、それぞれ3種類の主流な商品を抜粋して解説していきます。
国産材
構造材として利用されている樹種は、【スギ】【ヒノキ】【カラマツ】が主流です。
北海道ではトドマツが利用されたりしていますが、本州で利用されるケースは珍しいでしょう。
ヒバを利用するケースもありますが、かなり高価なため流通量は少ないです。
これらの樹種は全て針葉樹であり、【カエデ】【タモ】【カバ】などの広葉樹は構造材ではなく、家具などに利用されています。
ヒノキ


木肌は白く、この見た目が、昔から人気の北欧テイスト寄りであるため、人気があります。
東農桧や、乾太郎などの企業オリジナルブランドも流通していることから、高価格で販売されている樹種でもあります。
スギやカラマツに比べ、木自体が固いため、釘などを打ち込む際に「パキッ」と割れることがあります。
そのため、小さい角材(45mm×45mm程度)の利用には、あまり向いていないでしょう。
カラマツ
木肌は赤く、木目はっきりしています。木肌の赤身と木目の濃淡がはっきりしているため、好みが分かれます。
産地の多くは甲信越から東北あたりのため、西日本エリアでは、あまり利用されていません。
反りや曲がりが起きやすいことから、無垢材に比べ、品質を安定させやすい集成材として利用されることが多いです。
スギ


木肌は赤く、木目はっきりしています。ヒノキやカラマツに比べ、強度が低いです。(比較すると低いだけであり、構造体としては問題ありません)
強度とは関係なく、木自体が柔らかいため、釘やビスなどがめり込みやすく、職人さんに嫌煙されがちです。
しかしながら、国産材の中で一番安価に手に入ることから、国産材をうたっている住宅会社の多くは、スギを利用してます。
全国各地で植林されていますが、温かい地域で育ったスギは、成長が早いため、強度が弱い傾向にあります。
逆に寒い地域で育ったスギは、時間をかけて成長していくため、強度が高い傾向にあります。
いづれにせよ、スギ自体の強度に問題はなく、【材の寸法】と【(柱や梁の)組み方】が重要です。


小ネタ:バウムクーヘンの【バウム】はドイツ語で木という意味です。
外材(外国産材)
構造材として利用されている外材は、【レッドウッド】【ベイマツ】【ホワイトウッド】が主流です。(ホワイトウッドはスプルースと呼ばれます。)
土台材としてベイヒバが利用されることもありますが、高価格なため、ヒノキなど他の樹種を利用することがほとんどです。
これらの外材は緩やかな傾斜地で伐採されることから
レッドウッド


木肌は赤く、木目がきれいです。
原材料や製品は、主にヨーロッパから輸入されてくることから【欧州赤松】とも呼ばれています。
輸入商品のため、為替の影響を受けやすく、建設時の為替相場によって、国産材よりも高くなることがあります。
主に構造用集成材として利用されており、スギのなどの国産材に比べ、製造がしやすく強度も高いことから、構造用集成材の代表格と言えるでしょう。
現場による施工もしやすいことから、小さい角材(45mm×45mm程度)にも利用されることが多く、様々な用途で利用されています。
ベイマツ
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赤い木肌が特徴で、構造材の中で最も赤身を帯びています。
原材料や製品は、アメリカから輸入されるため米松(ベイマツ)と呼ばれています。
ベイマツも輸入商品のため、為替の影響を受けやすく、建設時の為替相場によって、国産材よりも高くなることがあります。
主に構造用KD材(無垢材)として利用されています。
KD材の中では一番といってもよいほどの強度があり、構造用集成材よりも安価なため、木造住宅ではかなりの割合で利用されており、構造用KD材の代表格と言えるでしょう。
ベイマツもレッドウッド同様、現場による施工もしやすいことから、様々な用途で利用されています。
ホワイトウッド


木肌は白く、木目の見た目も薄いことから、見た目がきれいです。
主に構造用集成材として利用されていますが、レッドウッドやベイマツよりもだいぶ少なめです。
かつては、「レッドウッドは粘りが強いため、梁材として利用し、ホワイトウッドは柱材として利用する」という住宅会社がちらほらありましたが、そもそも「レッドウッドは粘りが強い」というのが信憑性に欠けており、こういった利用方法は見かけなくなっています。
以上が【木造住宅の構造材って何があるの?】でした。住宅を建てる際の参考にしてもらえたら嬉しいです。
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