建売住宅のメリット・デメリット【注意点も分かりやすく解説】

海岸に並ぶカラフルな住宅模型

住宅情報サイトを見ると、建売住宅がたくさんあるけど、どこを注意して見ればよいのか分からない。

メリット・デメリットが知りたい。

購入後に

  • こんなんだった注文住宅にすればよかった。
  • マンションのほうがよかった。
  • 会社のことをもっとよく調べておけばよかった。

と後悔しないために、住宅業界歴20年超えの筆者が、初心者でも分かりやすく解説いたします。

住宅購入の参考になれば幸いです。

この記事ではこんな悩みを解決します。

  • 建売住宅のメリットとデメリット
  • 住んでから気付く戸建住宅とマンションの違い
  • 建売住宅を売っている会社の特長
目次

建売住宅のメリット・デメリット

GOODとBADのサイコロ

注文住宅との比較によりメリット・デメリットが生まれます。

こちらの表をご覧ください。

建売住宅注文住宅
価格が安い価格が高い
ローン手続きが簡単ローン手続きが手間
価格が明確価格がやや不明確
実物が見れる実物が見れない
間取りが決まっているフリープラン
仕様が決まっている仕様を自由に決めれる
外観が類似する自由な外観
直ぐに入居できる入居まで時間がかかる
土地と建物がセット土地を準備する必要がある

価格以外は、人によってメリットにもデメリットにもなりますので、自分に合った住宅を選べばよいのですが、そもそも「自分に合った住宅分からない」という方に、建売住宅と注文住宅のどちらが自分に合っているのか知ることができるきっかけになればと思います。

ここからは表の中から重要なポイントを解説していきます。

ローンの手続き

現金で購入される方には無関係ですが、既に土地を持っていて注文住宅を建てる方も、建売住宅のローン手続きとそんなに大差なくなるため、そもそも比較することが難しい項目だと思います。

価格が明確・不明確

建売住宅の場合は価格が明確です。値引き額によって変わることがありますが、これはうれしい不明確さです。

一方で注文住宅の場合、土地の強度(地盤改良の有無)や給排水の引き込み費用など、計画初期段階では分からない費用があります。

厄介なことに地盤改良費や給排水の引き込み費は、状況によって100万円くらいの費用がかかるということです。

【実物】と【間取り】について

「実物が見れる・見れない」、「間取りが決まっている・自由に決められる」この2つは密接に関わっているため、合わせて解説します。

建売住宅は実物を見ることができ、図面で見ていた間取りが実際にどんな風になっているのか知ることができます。

一方、注文住宅は実物は見れないが、間取りを自由に決めることができます。

よく注文住宅はメリットとして、「自分好みの間取りにできる」と言われますが、初めて住宅を建てようとしている方が、実物をイメージして理想の間取りを考えることができるのでしょうか?

そこは設計担当者の腕の見せ所ですが、1級建築士でありながら経験値の浅い設計担当者が付くことも、よくあることです。

有資格者だからと安心せず、どんな経験を積んできた人なのかをしっかり確認することをオススメします。

仕様が決まっている・自由に決められる

前項の間取りの自由度でも同じことが言えますが、「自由に決められる」ということは「自分で決めないといけない」ということです。

共働き夫婦で子供がまだ小さい家族が、フルオーダーで間取りから仕様から決めていこうとすると、オーバーフローするのが予想されます。

時間に追われて、じっくり吟味できずに決めたことによって、住み始めてから「こんなはずじゃなかった」となってしまいます。

「どっちのクロスがいい?」という質問に「どっちでもいい」思う方は、建売住宅が向いているかもしれません。

土地付きか否か

土地を持っていない方は、建売住宅を選択する方が無難です。

なぜなら、個人で土地を探す場合、自分が望むような土地を見つけられる可能性は低いからです。

土地探しについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

建売住宅の場合、大きな1つの土地を区割り(分筆)して、数棟の住宅を建てます。

この区割りは、建売住宅事業の中でもかなり重要部分になります。

区割りの効率が悪ければ、ダイレクトに販売価格へ影響を与えるからです。


1坪あたり50万円の土地があったとします。
パターンAでは1区画あたり30坪になりました。【30坪×50坪=土地価格1,500万円】
パターンBでは1区画あたり32坪になりました。【32坪×50坪=土地価格1,600万円】
パターンAとBとでは100万円も差がつきます。
建売住宅の場合、建物本体価格で100万円下げるのは、ほぼ不可能といっても過言ではありません。

この例のように、建売会社では少しでも効率的に区割りをしようと、しのぎを削っているわけです。

これは購入者側からすると【最も効率よく区割りされた土地】を手に入れることができるということです。

経済的な土地にマッチする建物が、完成した状態で手に入るわけです。

しかも実物が確認できる上に、明瞭会計というオプションまでついてきます(笑)

購入時期によっては「値引き」の可能性まで出てきます。

建売住宅の値引きについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

住んでから気付く戸建住宅とマンションの違い

都市のイラスト

「戸建とマンションどっちが得か?」みたいな比較がよくされていますが、そもそも比較しようのない部分があります。

そういったことは住んでから気付いたりします。

筆者が重要だと感じる部分を2つほど解説します。

  • 建物の向き(東西南北)
  • 間取り

建物の向き(東西南北)

同じ南向きでも圧倒的に明るさが違います。

南向きの場合、マンションは北側に玄関があり、南側にリビング・ダイニング(キッチン)が壁一面サッシによって、最大限採光を取り入れる間取りになっていることが多いです。

一方、戸建の場合は南側に玄関があり、構造上の理由により壁一面サッシにすることができないケースがほとんどです。(どこかに耐力壁という構造上、重要な壁が必要になります。)

南向き土地の場合、価格が高いということもあり、間口が狭くなりがちです。

間口が狭いため、リビングは南に面していますが、ダイニング・キッチンはリビングの後ろ側に配置されることになります。

その結果、南向きにも関わらずダイニング・キッチンは、「薄暗い」感じになってしまいます。

間取り

マンションは、管理の行き届いた防犯性の高い平屋です。

日常生活において、階段を使う必要がないということに便利さを感じることでしょう。

しかしながら、マンションは3LDKが主流となっているため、4人以上世帯においては、狭く感じることは否めません。

また、駐車場(駐輪場)が離れていることが大半で、場合によっては機械式駐車場となるため、買い物においてはとてつもなく不便さを感じることでしょう。

一方、戸建は大半が2階建てであり、掃除や洗濯、就寝の際にも階段を使う必要が出てきます。

駅徒歩圏内になると3階建ての可能性が高くなるため、更に階段を利用する頻度が高くなります。

戸建は4LDKが主流であるため、4人以上世帯でも十分な広さが確保できます。

これは見方を変えると、洗濯機とベランダとの距離や、掃除の範囲などの生活同線が長くなり、間取りによっては不便さを感じることも出てきます。

しかしながら、駐車場は玄関やリビング近くに配置されることが多く、荷物の出し入れが圧倒的に便利であり、アウトドア好きの家族にっては、最高の配置だと感じることは間違いないでしょう。

建売住宅を売っている会社の特長

家の模型を虫眼鏡で観察する人

買おうとしている建売住宅のホームページを見ない人はあまりいないと思いますが(見ていない人は必ず見てください)、皆さんはどういった所をご覧になっていますか?

こんな所をご覧になっているのではないでしょうか?

  • 物件検索(間取り、価格、写真)
  • 施工事例
  • お客者へのインタビュー
  • 商品ラインナップは目は通すものの、色々ありすぎてパス

番外編として【Googleで対象となる住宅会社の口コミ検索】といった感じではないでしょうか?

上記項目は、建売住宅会社の特長が良く理解できるだけでなく、これから住宅を買おうとしている人にとっては、楽しい時間になることでしょう。

住むまでのことはとても重要ですが、住んだ後のことも忘れずに考えていただきたいと思います。

【アフターサービス】とそれとの関係性が高い【品質】です。

ホームページでこの2つの項目が、【物件検索】などの項目と同じくらい目立っていなければ、注意が必要です。

建売会社にとって、物件検索はPRしたいポイントです。それと同じ段にアフタサービス、品質の項目を載せているということは、それだけ重要視している証拠です。

逆にそもそもそんな項目がないということは、重要視していない(顧客のニーズに鈍感)もしくはPRするほどの内容になっていない(最低限のアフターサービスと普通の品質)可能性があります。

では、どこを見ればよいのか解説します。

アフターサービス

カスタマーサービスを評価する人

10年保証というのは、全ての会社がうたっているといって間違いないでしょう。

なぜなら新築住宅は住宅品質確保促進法(品確法)によって、「構造耐力上主要な部分」などの保証が義務化されているからです。

その他に短期保証(概ね2年)がありますが、これらは住宅設備機器などが該当するケースが多いです。

これは単純にメーカー保証が2年なので、住宅会社がお客さんに発行する保証書も、それに合わせているわけです。

メーカー保証の期間と合わせることで、何か起きたときに、住宅会社はメーカーに保証させることができるからです。

アフターサービスで抑えておきたいポイントを3つほど解説いたします。

  • 延長保証
  • 保険やその他の保証
  • 定期点検

延長保証

「50年間延長保証します!」などとPRしている住宅会社もありますが、この延長保証を受けるには、外壁や防水などの大掛かりな補修工事の依頼をすることが条件だったりします。

大掛かりな工事=大きな売上が見込める

どの住宅会社も、大きな売上が見込める工事を受注するために、「独自の延長保証制度」を設けるわけです。

延長保証の長い、短いは大して気にしなくても良いでしょう。

たとえ延長保証が短かったとしても、10年、20年と節目を迎えようとするときには、別のリフォーム会社が「弊社が外壁補修しましょうか?」と営業にきてくれますからご安心ください。

保険やその他の保証

次の一覧に記載の保険や保証は業界では当たり前です。

住宅瑕疵担保責任保険(住宅瑕疵担保履行法で定められている)
地盤保証
白アリ保証

上記保険(保証)以外の保証(耐震保証など)が付いてる場合は、独自の保証の可能性が高いため、他社にはないメリットと考えて間違いないでしょう。

耐震保証は、大手ハウスメーカーや大手メーカーが制度を設けていたりしています。

定期点検

住宅業界では、無償点検をするのが当たり前となっています。

ただし、会社によって何回?何年?なのかが違います。

6ヶ月/1年/(2年)/5年/10年の5回(もしくは4回)よりも少なければ、「他社よりもサービスレベルが低い」と考えて問題ないでしょう。

逆に6回以上の無償点検を行っている住宅会社は、「良いサービスを提供している」と考えられます。

品質

品質のイメージ

建売会社のホームページ上では、品質とアフターサービスを同じカテゴリーで扱っているケースが多いですが、抑えておきたいポイントを解説いたします。

品質で抑えておきたいポイントを2つほど解説いたします。

  • 認定制度
  • 性能

認定制度

品質面において、次に掲げる認定制度の内、いづれかを取得していれば、品質について安心してもよいと言えるでしょう。

長期優良住宅
設計性能評価
建設性能評価

認定制度の基準に「耐震等級」という項目があります。地震に対する強度を表す指標ですが、住宅会社の中には「耐震等級3相当」とうたっている会社もあります。

そういった会社は「長期優良住宅などの認定は受けているのか?」確認したほうがよいでしょう。

性能

性能を知るには、耐震性や断熱性など調べることが山ほど出てきますが、ここでは建物の中でも重要となる部分であり、コストにも大きく影響を及ぼす、構造にフォーカスして解説します。

構造のコストについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

建売住宅の場合、価格が載っているため、つい価格の安い住宅会社の方へ目が行きがちですが、【少し高い建売住宅】は単純に「資材を高く買っている」と判断するのは、時期尚早です。

他の住宅よりも高い性能を有している可能性があるからです。

性能で注目してほしい項目

  1. 構造材
  2. 接合部
  3. 制振装置
① 構造材

構造材は大きく分けて、KD材(無垢材)か集成材のどちらが利用されます。(ここではツーバイフォー工法は除いています。)

どちらも問題なく利用できる材ですが、集成材の方が品質が安定しており高価です。

品質にこだわっている住宅会社は、割高だけど集成材を選択する傾向にあります。

② 接合部

木造住宅の多くは在来軸組工法で作られており、柱と梁などの接合部は「在来仕口」と言われるやり方で、組んでいます。

近年、この在来仕口による断面欠損を最小限に抑えるため、金物メーカーが開発した「金物工法」という工法が生まれました。

在来軸組工法と金物工法についてはこちらの図をご覧ください。

在来軸組工法と金物工法のイラスト
出典:金物工法とは(BXカネシン株式会社)https://www.kaneshin.co.jp/tech/kanamono/about.php
加工された柱
出典:金物工法とは(BXカネシン株式会社)https://www.kaneshin.co.jp/tech/kanamono/about.php

この金物工法は在来軸組工法で利用する金物の4~5倍近くコストが高くなります。

ですが上記図と写真のとおり、金物工法の方が【性能】という点では、高くなるというのがご理解いただけると思います。

建売住宅会社の中には、この金物工法を標準装備している会社があります。

在来軸組工法と金物工法では、価格差があって当然といえるでしょう。

③ 制振装置

制振ダンパーや壁パネルなど地震に対して効果的な性能を発揮する装置(仕様)です。

注文住宅であれば、間違いなくオプション扱いとなる装置ですが、建売住宅会社の中には、こういった装置を標準装備している会社もあります。

この装置を含めた販売価格なので、「価格が少し高い」というのも納得ができます。

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