住宅展示場は見学だけでもいいの?【理想のハウスメーカーと出会える方法】

図面の上で模型を作る

「どこのハウスメーカーに依頼しようか吟味するため、まずは総合住宅展示場に行ってみようかな」

と考えている方は、総合住宅展示場へ行く前に、この記事を読んでください。

住宅業界歴20年超えの筆者が、理想のハウスメーカーと出会える方法を分かりやすく解説いたします。

住宅購入の参考になれば幸いです。

この記事で解説する内容

  • 3種類ある展示場
  • 理想のハウスメーカーと出会える方法
  • ハウスメーカー選びのチェックポイント
目次

3種類ある展示場

番号のついた三色のブロック

展示場は大きく分けて3種類あります。

  • 住宅総合展示場
  • ハウスメーカーが土地を購入(または賃貸)して展示場を建てる
  • 最終的にお客さんへ売却する目的で建てる展示場(モデル棟)

住宅総合展示場

住宅総合展示場には、多種多様な住宅が建ち並んでいます。

何十社というハウスメーカーが展示場を構えているため、どれか1つは自分好みの住宅が見つかることでしょう。

しかしながら、その好みの住宅を現実に建てるためには、それなりの土地の広さと予算が必要になります。

ハウスメーカー側から見た住宅総合展示場

住宅総合展示場は集客のための広告宣伝費がかからない分、運営会社への運営費や展示場の賃料などの費用が発生します。

これらの費用は、土地を賃貸するのとは比べ物にならない費用負担になります。

建物は、競合他社が周辺に建ち並んでいるので、自社展示場を優位に見せるために、部屋数が豊富な上に、豪華な仕様の建物になる傾向にあります。

これが更なる費用負担になり、これらの費用をまかなえるだけの契約数と契約金額を確保しなければいけません。

こういった背景から、住宅総合展示場に出店しているハウスメーカーの多くは、すぐに契約できる土地持ち客(土地を持っている客)に絞り込んで営業するため、土地なし客(土地を持っていない客)は、優先順位はかなり低くなります。

ハウスメーカーによっては、土地なし客は顧客対象から外れることも少なくありません。

ハウスメーカーが土地を購入(または賃貸)して展示場を建てる

前述したとおり、住宅総合展示場は多大な費用がかかります。

そこで、安い土地を見つけて自社展示場を建てれば、費用を安く抑えることができます。

最近でこそ現実的に住めるような、展示場を建てるケースがちらほら出てきているものの、まだまだ「夢のような住宅」を建てるケースが多い傾向にあります。

住宅総合展示場へ出店できるほどの資金力がないハウスメーカーが多く、土地なし客に対しても、顧客としてしっかりと向き合い、土地をマッチングしようとしてくれる会社が多く存在します。

最終的にお客さんへ売却する目的で建てる展示場(モデル棟)

完成してから数カ月は展示場として利用し、その後リーズナブルな価格で売却するケースです。

最終的に売却することを考えているため、「現実的に生活できる住宅」仕様なっています。

インテリアの設えもされていることから、どんな空間になるのかも体験することができます。

1度も居住していないため「新築」扱いにはなりますが、展示場として利用されていたため、感覚的に「新築」とは感じないと思われます。

理想のハウスメーカーと出会える方法

5種類の屋根でできた住宅の積み木

大手のハウスメーカーは数えるほどしかありませんが、注文住宅を建ててくれる住宅会社は星の数ほどあります。

注文住宅を建てる地域が限定されているとはいえ、1社ずつ調べるのは大変です。(無理と言っても過言でありません)

  • WEBで検索しても、地域の住宅会社がヒットしない
  • 運よくホームページを発見しても「いまいちどんな会社分からない」

なんてことになります。

意外にもWEBに力を入れていない会社が、すごくいい住宅を作っていたりもします。

こういった、課題を解消する唯一の方法が、住宅ポータルサイトを利用することです。

住宅ポータルサイトには、大小様々な住宅会社が物件を掲載しております。

注文住宅のみならず、建売住宅やマンションなど、ありとあらゆる住まいが掲載されています。

「注文住宅がいいと思っていたけど、自分には建売住宅の方が合っていた」というような自分でも気づかなかったことに、気付けることもあります。

住宅ポータルサイトのメリット

  • 気になる会社のカタログを無料で一括請求できる。
  • アドバイザーへの無料相談(WEB、面談どちらでも)ができる。
  • 住宅会社へ問い合わせていないので、直接電話が来ることがない。

メリットが分かったといっても、そもそも相談するのが億劫であったりしますよね?

そんな気持ちを乗り越えるだけでも大変ですが、せっかく相談まで踏み切れても、実りがなければ「相談しなければ良かった」となってしまいます。

そこで、資料請求やアドバイザーへ相談する前に最低限抑えておきたいポイントを解説いたします。

最低限抑えておきたいポイント

  • 最低限の住宅に関する知識を付けておく
  • 箇条書きでもよいので、どんな住宅を建てたいのか要件をまとめておく

最低限の住宅に関する知識

最低限アドバイザーとキャッチボールができるレベルの知識は付けておいたほうが良いでしょう。

構造

住宅の構造は大きく分けて3つです。

  • 木造(在来軸組工法とツーバイフォー工法)
  • 鉄骨造(別名:S造)
  • 鉄筋コンクリート造(別名:RC造)

厳密にはもう少しありますが、この3つの中でも木造を選択する方が多いです。

S造やRC造は木造に比べ、設計の自由度が高いということと、強い構造であり、その分コストが高いと言われています。

しかしながら、地震の多い日本では、建築基準法で木造でも、地震に耐えられるだけの基準が担保されています。

近年(ここ10年前後)は長期優良住宅や性能表示制度など、住宅に付加価値を付ける動きがなされており、耐震性だけではなく省エネ性なども含めた、高い性能の住宅が世に出てきています。

よほどのこだわりがない限りは、木造(在来軸組工法)1択で問題ないでしょう。

認定制度

前述した構造で少し触れましたが、以下の制度は「こんな制度があるんだ」程度でも知っておいた方がいいでしょう。

ZEH住宅太陽光発電や省エネルギー設備などで生み出すエネルギーが、家庭で使用するエネルギーよりも上回る住宅
長期優良住宅耐震性や省エネルギー性、維持管理の容易さなど、長期に渡り良好な状態で使用するための措置が講じられている住宅。それぞれの項目を「等級」で表示されていることが特徴的。
住宅ローンや所得税、登録免許税などの控除が受けられる。
住宅性能表示制度【構造の安定】や【劣化の軽減】など住宅の性能が「等級」により数値化されており、新築・中古問わず、住宅の売買の判断材料として有効となる。
住宅ローンや地震保険における控除が受けられる。

これらの基準を満たすには、高い性能を要求されることから、建物本体価格が高くなることは間違いないでしょう

また、それぞれ別途で申請費用もかかるため、本当に必要だと思う認定制度だけ選択すると良いでしょう。

優遇措置やローン

  • どんな優遇措置(控除)が受けられるのか?
  • どれだけ控除されるのか?
  • ローンの金利は?変動?固定?
  • 月々の支払額は?

これらは住宅会社の担当者が、丁寧に教えてくれますから、知識を付ける時間に余裕がある方は調べれば良いかと思います。

どんな住宅が建てたいのか

伝えたい要件は多いほうがいいです。また、それらの要件をアドバイザーへ相談する前に送っておくと、なお良いでしょう。

ここでは最低限、伝えておきたい要件を列挙しておきます。

立地

住所だけでなく、実家が近所なども伝えておくと良いでしょう。

  • 住みたいエリア
  • 希望の学区
  • 駅からの距離
  • 幹線道路沿いは許容範囲か?

地形

地形はどこまでならOKか?というのを伝えられると良いでしょう。

  • 延長敷地(旗竿敷地)でも良いのか?
  • 土地の向きで絶対にさけたい方角はあるのか?
  • 建築条件付きでも良いのか?

建物

イメージ写真などあると良いでしょう。

最近はInstagramでもおしゃれな住宅が掲載されているので、調べてみると良いでしょう。

  • 平屋、2階建、3階建
  • 建物全体のカラー
  • 好みの建物デザイン
  • 好みのインテリア
  • 中古住宅でも良いのか?

ハウスメーカー選びのチェックポイント

チェックマークの付いた3つのサイコロ

最後にハウスメーカーを決める際に、抑えておきたいポイントを解説します。

設計

「間取りの打ち合わせをするので、ハウスメーカーの設計士が対応してくれるんでしょ?」と考えてしまいがちですが、打ち合わせをしていた担当者が、実は外注設計士だったなんてことはよくあることです。

自社設計の場合

施工事例が実力そのものになるので、必ず確認しましょう。

外観などのデザインに統一感がある場合は、そのデザインをウリにしている可能性があるため、「イメージと違う」と感じた場合は要注意です。

外注設計の場合

建築家などの設計事務所へ外注している場合、そのハウスメーカーと設計事務所がどのように連携しているのかチェックしましょう。

プランニング段階から現場監督も交えて商談する場合は、施工性も考えて対応できている可能性が高いです。

しかし、プランニングは外注設計士が行い、工事段階で現場監督が登場してくる場合には注意が必要です。

その図面では施工段階で不具合が起きる可能性があるためです。

不具合というのは施工できないというわけではなく、次のような少し無理をした構造になるケースがあります。

  • 高強度な構造材が必要になる。
  • 防水上、いい納まりとは言えない。
  • 強引な納め方により、将来的にクロスのひび割れなどが発生しやすい。

自社であれ外注であれ、共通して注意しないといけないことは、有資格者だからといって信用してはいけないということです。(外注設計で無資格というケースはほとんどありませんが)

資格を持っているだけで、実務経験がほとんどない(住宅の設計経験がないなど)設計士はたくさんいます。

できれば商談に入る前に、ポートフォリオ(過去に設計した作品集のようなもの)を見せてもらうことをオススメします。

その設計士がどれだけの実績があり、どんなデザインをしてきたのかが分かります。

施工

「注文住宅で仕事をしているので、当然のことながら施工は自社でしょう」と思われますが、全ての会社がそういうわけではありません。

次のようなケースがあります。

  • 一括で工務店へ発注しているケース(一括発注)
  • 一部の資材仕入れは自社で行っているが、施工は工務店へ依頼しているケース(一部分離発注)
  • 資材も施工も全て自社で行っているケース(分離発注)

一括で工務店へ発注【一括発注】

大手不動産系ハウスメーカーによくあるケースですが、主に継続取引関係のある下請け工務店へ依頼しています。

発注者は主に施工管理を中心に業務を行いますが、一括で依頼しているが故に、チェックを見落とすリスクがあります。

アフターサービスだけでなく設計業務も外注していることが多いです。

このケースの場合、販売価格が高くなる傾向にあります。

一部の資材仕入は自社/その他の資材と施工は工務店へ依頼

一部の資材というのは、主に単価の大きい資材となります。

キッチンやユニットバスなどの住宅設備機器や構造材などの木材が該当します。

ハウスメーカーにとっては、単価の大きい資材を自社で仕入れることで、工務店へ支払う金額を抑えられるというメリットがあります。

ただし、一部の資材であっても、自社で購入して納品するのは、大変手間がかかるため、どこまでの資材を自社で手配しているのかは、ハウスメーカーの規模によって異なります。

CMに登場してくるような超大手ハウスメーカーともなると、住宅設備機器を自社製造しているケースもあります。

資材も施工も全て自社【分離発注】

自社で職人さんも資材も手配するため、中規模クラス(ざっくり年間200棟以上くらい)のハウスメーカーでないと、この体制を構築するのは難しいでしょう。

全て自社完結することにより、卸問屋や工務店などに支払う手数料、いわゆる中間商流をカットすることができ、ローコストな住宅を建てることができます。

分離発注したからといって、必ずしもコストカットできるわけではありませんが、設計・施工能力は高くなる傾向にあり、資材の目利きも長けている傾向にあります。

気になるハウスメーカーがどんな施工体制で行っているのかは、次のアフターサービスと保証にも大きく関わってきますので、必ずチェックするようにしましょう。

アフターサービスと保証

「建てることばかり考えて、アフターサービスや保証は住んでから気付いた」なんてことは、住宅購入あるあるです。

認定制度は標準か?オプションか?

長期優良住宅などの認定制度は、標準化しているケースとオプション設定されているケースがあります。

認定制度の標準かオプションかによって、スペックにかなりの差がでますので、必ず確認するようにしましょう。

オプション設定されている場合でも、「耐震等級3相当」など長期優良住宅の認定は受けていなくとも、同等に近い性能の住宅になっているケースもあります。

認定制度にそこまでこだわりがなければ、性能だけ同等の住宅を選択しても良いでしょう。

アフターサービス

無償点検は何年までで何回実施するのかは必ず確認しましょう。

最近は10年(4~5回)が標準になりつつありますので、実施期間と回数がそれ以下の場合は、あまり良いサービスとは言えないでしょう。

工務店に一括発注(もしくは部分発注)しているハウスメーカーは、施工を依頼した工務店にアフターサービスまで対応させるケースがほとんどです。

自社施工(分離発注)しているハウスメーカーは、自分たちで職人を手配しているので、アフターサービスも自社で行っているケースが多いです。

そのため品質が悪ければ、将来自分たちに返ってくるため、品質からアフターサービスまで、お客さんに寄り添った体制になっている傾向にあります。

保証

ほとんどのハウスメーカーは自社の保証書を発行していますが、ごく稀に発行していない会社もあるので、注意しましょう。

主要構造部など建物の重要な部分となる箇所は、長期保証の対象となり保証期間は10年が基本です。

その他の短期保証は2年(一部3年や5年あり)が基本です。

保証期間がそれよりも短ければ、保証内容が悪いと言えるでしょう。

確認できれば安心

次のような項目も確認できると安心です。

不動産業者との連携

(地域の)ハウスメーカーの中には、土地なし客に注文住宅を建ててもらうために、不動産業者さんと連携しているケースがよくあります。

土地なし客にとっては、ありがたいサービスであるのは間違いありません。

土地を持っていない方は、検討しているハウスメーカーが、そういった土地紹介体制がしっかりしているかどうか確認することをオススメします。

ハウスメーカーの倒産リスク

上場しているハウスメーカーであれば、決算書が閲覧できるため、事前に倒産のリスクについて調べることはできます。

地域のハウスメーカーは非上場企業が多いため、財務状況を確認することが難しいです。

費用を支払って㈱帝国データバンクなどの信用調査会社へ依頼する方法もありますが、住宅ポータルサイトのアドバイザーに聞いてみるのも良いでしょう。

あからさまな発言はしないと思いますが、それとなくの雰囲気は教えてくるはずです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次