家を建てるために必要な土地の広さの目安とは?【初心者向け画像解説付き】

家を建てるためには、どれだけの土地の広さがあればいいのか悩みますよね?

この記事では、これから土地探しをする人や、既に土地を所有している人にも向けて解説いたします。

こんな悩みを解決します。

  • 建物、駐車場の大きさってどうやって計算するの?
  • その土地にどれだけの大きさの建物が建てられるの?

この記事を書いている人

廣岡 旬 Hirooka Jun

  • 元住宅メーカーの部長
  • 卒業設計コンクールで最優秀賞受賞
  • 設計担当した物件が建築雑誌に掲載
  • 住宅資材の開発に携わる
  • 用地仕入・施工・設計など携わった職種は多岐にわたる
  • 建築業界で20年以上従事
  • 現在は住宅のコンサルタントをしながら、住宅業界に関わる情報を発信

目次

建物と駐車場

建物と車の写真

敷地に建てられる建物の大きさは、物理的な要件や法律によって決まってきます。

物理的な要件とは駐車場であったり、敷地の形状や高低差などのことを指します。

建物と駐車場を配置したイラスト

敷地は東西南北ありますが、基本的な考え方は上図のように敷地の中に、建物と駐車場が入るかどうか?です。

この敷地に高低差があれば、階段が必要になったり、法的な規制のある地域であれば、建物サイズが小さくなったりします。

駐車場配置の考え方

まずいくつか車体のサイズを見てみましょう。

車種奥行き
セレナ(日産)1.69M4.69M
クラウン(トヨタ)1.84M4.93M
X6(BMW)2.00M4.94M
NBOX(ホンダ)1.47M3.39M

ほとんどの車種は幅2M以内におさまっており、奥行きは5M未満といったところでしょうか。

注意が必要なのは、この幅にはドアミラーや、乗り降りに必要な寸法が含まれていないということです。

ドアミラーや乗り降りを考慮した場合、どれくらいの寸法になるのか見ていきましょう。

駐車場の寸法を描いたイラスト

上図のように、2台駐車を前提としたとき幅5.5M、奥行き5.5Mは確保したいところです。

ただし、X6(BMW)のような大型車は幅を3Mくらいは確保しておいたほうが良いでしょう。

逆に軽自動車であれば幅2.5M、奥行き4.5Mくらいでも大丈夫でしょう。

建物配置の考え方

屋根や樋、外壁などが隣の敷地に越境してはいけません。(空中でもアウトです。)

もちろん建物とは関係のない、コンクリートブロックやフェンスも越境してはいけません。

では、隣地との境界である、隣地境界線からどれだけ離せばよいのか見ていきましょう。

敷地の中を配管が通るイラスト

隣地境界線と建物の間には、ブロック/フェンスが設置されたり、地中には配管が通ったりしています。

必ずしもブロック/フェンスを設置する必要はありませんが、配管はそうはいきません。

ガス、水道、下水、雨水など色々な配管が地中を通っていきます。

「建物の中を通してはいけないの?」という意見もありますが、メンテナンスのことや、破損する可能性を考えると、建物の中で配管を通すというのは、良いとは言いにくく、建物の外で配管するのが一般的です。

建物の位置を表現したイラスト

前述した内容を考慮すると、隣地境界線と建物の間を0.6M(60cm)~0.7M(70cm)は離すと良いでしょう。

隣地境界線と外壁との距離については、民法第234条で【建物を築造するには、境界線から50センチメートル以上の距離を保たなければならない。】という規定がありますが、同法第236条に【規定と異なる「慣習」があるときは、その「慣習」に従う】と定められています。
必ずしも50cm離す必要はありませんが、こういった法的な観点からも60~70cmは離したほうが、民法を主張する隣人との争いを避けることができます。

敷地に建てられる建物の大きさ

模型も持ちながら図面を描く人

敷地に建てられる建物の大きさについては、様々な規制によって制限されますが、用途地域が指定されている全ての地域に適用される【建ぺい率】と【容積率】に絞り込んで解説いたします。

用途地域が指定されていない地域もありますが、そういった地域はそもそも土地が広く、建物の制限を受けにくいため、気にしなくてもよいでしょう。

建ぺい率(建蔽率)

建ぺい率とは、敷地を真上から見下ろしたときの、建物が占める割合のことです。

専門書では「敷地面積に対する建築面積の割合」と書かれています。

例を挙げてみましょう。

  • 敷地面積120m2
  • 建ぺい率60%
敷地に対する建物の割合を示したイラスト

上図のように敷地面積(120m2)の60%となる、72m2までしか建てることができません。

これは平面上の面積制限です。

住居系地域の多くは建ぺい率60%に設定されていますが、中には30%や40%の地域もあります。

こういった建ぺい率の厳しい地域では、たいてい壁面後退や北側斜線など建築制限のあるケースが多いため、建ぺい率が60%を下回っている場合には、注意が必要です。

一方、商業系地域の多くは建ぺい率80%に設定されているため、敷地を有効的に利用することができます。

ただし商業系地域の場合、大半(もしかしたら全て)が防火地域に指定されているため、建物価格がアップするので注意が必要です。

容積率

容積率とは、敷地面積に対する延床面積の割合のことです。

例を挙げてみましょう。

例1
  • 2階建て住宅
  • 敷地面積120m2
  • 建ぺい率60%
  • 容積率200%
2階建ての時の容積率を表したイラスト

上図のように敷地面積(120m2)に対して、延床面積は200%の240m2まで建てることができますが、建ぺい率が60%なので144m2までしか建てることができませんが、住宅でそこまでの延床面積が必要となることはあまりないでしょう。

例2
  • 3階建て住宅
  • 敷地面積120m2
  • 建ぺい率80%
  • 容積率200%
3階建ての時の容積率を表したイラスト

例2では、容積率が200%の敷地に3階建てを建てるケースですが、延床面積240m2までしか建てることができないため、3階部分は48m2となってしまいます。

例1と同様に住宅でそこまで延べ床面積が必要となることはあまりないでしょう。

住居系地域では容積率80%の地域もあるため、そういった地域では容積率による制限を受ける可能性が高まります。

商業系地域では600%という地域もありますが、こういった地域は、オフィス街などの高層ビルが立ち並ぶエリアになるため、住宅地として検討することはほとんどないでしょう。

まとめ

敷地にゆとりがあれば、神経質に建ぺい率/容積率を気にする必要はありません。

しかし、地域によっては建ぺい率が30%であったり、容積率が80%の地域もあるため必ず確認しましょう。

そういった地域に該当する場合は、望む大きさの建物を建てられない可能性が出てくるため、注意が必要です。

筆者は家を建てるのに必要な部屋の広さについて記事も書いていますので、興味のある方はこちらの記事もぜひ読んでみてください。

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